漏水事故と賠償責任保険の性質
漏水事故
漏水事故の相談を受ける機会が多いのですが、賠償責任保険の性質についてきちんと理解されていない方が多い印象です。
賠償責任保険は、火災保険やマンション管理組合が入る保険に附帯していることが多いわけですが、賠償責任保険と火災保険本体とではその性質がかなり違います。
例えば、賃借人が加入している火災保険で漏水被害の補償を受ける場合、支払われる保険金の額は、約款により算定される金額となり、基本的には契約で定まっている金額となります。
一方、「賠償責任保険」というものは、被保険者(加害者)が被害者に対して法律上負担する損害賠償金を保険会社が被保険者の代わりに被害者に支払うものです。
そのため、支払われる保険金の額は、「法律上負担する損害賠償金」の額となり、具体的に契約(約款)で決まっているわけではありません。
賠償責任保険の保険会社が、修繕工事の費用見積書を査定して「保険で出るのは〇〇万円です」と言ってきますが、これは、約款で〇〇万円払うと決まっているわけではなく、「保険会社としては、今回の事故で被保険者(加害者)が被害者に対して法律上負担する損害賠償金(修繕費用)の額は、〇〇万円が相当だと思います」という主張に過ぎません。
被害者は、その主張に不服があれば、加害者に対して損害賠償を請求する裁判を起こすことができます。裁判を起こせば、「被保険者(加害者)が被害者に対して法律上負担する損害賠償金の額」は、裁判所で決まることになります。その金額が、保険会社の主張額よりも大きければ、保険会社は裁判所で決まった金額を支払います。
一方、被保険者(加害者)からすれば、「法律上負担する損害賠償金」については保険会社が払ってくれるわけで、そのために保険に入っているわけですから、例えば、修繕費用の見積額と、保険会社の提示金額との差額を自己負担する必要はありません。被害者が保険会社の提示額に不服であるということであれば、裁判所で「法律上負担する損害賠償金」を決めてもらってください、ということができます。
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ここで次の問題は、裁判所での「被保険者(加害者)が被害者に対して法律上負担する損害賠償金」の認定がなかなか渋く、被害者が相当と考える賠償水準には届かないことが多い、という問題ですが、それについてはまた機会を改めたいと思います。
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所属しておりました,たつき総合法律事務所が解散することとなり,弁護士秋山直人は,独立し,四谷に「秋山法律事務所」を開設しました。
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雑感
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マークシート方式の短答式試験は何とか突破できましたが,正直,弁護士業務が相当忙しいので,論文式試験の勉強は進んでいません・・・。
気長に構えて,すきま時間でコツコツと勉強していきたいと思っています。
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家賃支援給付金について賃貸人の署名がもらえない問題で運用改善の兆し
家賃支援給付金
建物賃貸借契約が法定更新の状態になっているなどのときに、家賃支援給付金申請の要件として「賃貸借契約等証明書」に賃貸人の署名がないと申請が通らないということが大きな問題になっていますが、この問題で運用改善の兆しが見えています。
有志の弁護士が国会議員を通じて中小企業庁に運用改善等の申し入れを行った結果、弁護士が関与して、法定更新になっていることを説明する文書や関連資料を添付して申請している事案で、申請が通りはじめたというニュースが入っています。
法定更新のために賃貸借契約書からは申請時に賃貸借契約が存続していることが確認できないとされ、「賃貸借契約等証明書」に賃貸人の署名がないと給付金を支給できないが、賃貸人が協力してくれない、という問題に直面されている方は、ぜひ弁護士に相談することをお勧め致します。
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