不動産トラブルに強い弁護士なら弁護士秋山直人

賃貸物件からの立退きを求めたい

 

賃借人の契約違反や迷惑行為による賃貸借契約解除

 
賃借人に建物を賃貸したものの,賃借人がトラブルを起こす場合があります。
 
例えば,賃貸借契約書で物件の用途を具体的に決めて貸したのに,それと異なる用途に使用した場合(用法違反),賃貸人の承諾を得ないで,無断で内装工事を行ってしまった場合(無断改装),賃貸人の承諾を得ないで,無断で物件を第三者に転貸したり,賃借権を譲渡してしまった場合(無断譲渡・転貸),同じ建物の他の賃借人に対して騒音等の著しい迷惑を及ぼす行為を行っているような場合(迷惑行為)などです。
 
このような場合,賃貸人としては,まずは事実関係を良く調査し,証拠を収集して,賃貸借契約を解除できるようなレベルの問題かどうか,見極めを付けることが必要です。この際に,弁護士に相談することが望ましいです。
 
その上で,まずは「催告」といって,書面をもって,賃借人に対し,契約違反行為や迷惑行為を特定して,一定期間内に是正を求めることが必要です。
 
契約書では「催告無しに賃貸借契約を解除できる」と書いてあっても,催告無しの解除は裁判所で無効と判断されるリスクが増しますので,催告をしておくことが望ましいといえます。
 
「催告」をしても賃借人が是正しない場合には,賃貸借契約の解除を通知するかどうかを判断します。この判断の際にも,弁護士との相談が必要です。
 
裁判所は,賃貸借契約の継続的性質や,賃貸借契約の存続が賃借人にとって死活的に重要であることから,賃借人に一定の契約違反や迷惑行為が認められても,直ちに賃貸借契約の解除を有効と認めるのではなく,賃借人の行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない事情がある場合(背信性の不存在)には,解除を無効と判断することがあります。
 
例えば,用法違反があっても,賃貸人にとって具体的な不利益がないとか,無断改装があっても,原状回復や修繕が容易であるとか,無断譲渡といっても,個人が法人成りした法人に占有が移っただけで実態にはあまり変わりがないとか,騒音等の迷惑行為があっても,そのレベルがいまだ受忍限度を超えていないレベルにとどまる,といったような場合です。
 
このように,実際には,賃借人側の契約違反や迷惑行為が,賃貸人との信頼関係を破壊するような酷いレベルであるときに,賃貸借契約を解除し,賃借人に明渡しを求めることが認められます。そのため,賃貸人としては,賃借人の行為に立腹したとしても,安易に賃貸借契約の解除に突き進むのではなく,弁護士に相談の上,賃貸借契約の解除が法的に有効と認められる見込みが十分あるか検討の上で,賃貸借契約を解除し,明渡しを求めるかどうか判断すべきといえます。
 
その上で,裁判までした場合には賃貸借契約解除が無効と判断されるリスクがあることを認識しつつ,賃借人に態度を正してもらうため,あえて催告の上で賃貸借契約解除を通知し,その後の交渉で賃借人に是正を求めて,是正されるのであれば解除を撤回するということもあるでしょう。
 

「正当事由」があることを前提とした更新拒絶,解約申入れ

 
賃借人側に賃料滞納や契約違反がなくても,賃貸人の側が当該物件を返してもらって自己使用したいとか,建物が老朽化し,耐震性能上問題があるために建物自体を建て替えたいような場合に,賃借人に立退きを求めるケースがあります。
 
通常,建物賃貸借契約では,2年間程度の期間を定めて賃貸していますが,前記のようなケースでは,契約期間満了の1年前から6か月前までの間に,賃借人に対し,更新をしない旨の通知(更新拒絶)を書面ですることが必要です(借地借家法26条1項)。
 
また,更新について賃借人とトラブルとなり,合意更新ができずに法定更新になっているケースでは,契約期間の定めがなくなっていますので,賃借人に対し,「解約申入れ」を行うことが必要です(借地借家法27条)。
 
そして,更新拒絶や解約申入れに「正当事由」があると認められれば,賃貸借契約は,更新拒絶の場合には契約期間満了をもって終了し,解約申入れの場合には,申入れの日から6か月を経過することで終了します(借地借家法28条)。
 
この「正当事由」があるといえるかどうかは,「建物の賃貸人が建物の使用を必要とする事情」があることを前提に,「建物の賃貸借に関する従前の経過」「建物の利用状況」「建物の現況」「立退料の提供金額」を考慮して,最終的には裁判所が判断します。
 
多くの場合には,相当額の立退料の提供が必要となりますが,立退料の金額は,事案によってケースバイケースであり,賃借人側の対応によってもかなり異なってきます。
 
住居用建物の場合と比べ,事務所用や店舗用の建物の場合には,必要な立退料も更に高額となります。
 
従いまして,「正当事由」を必要とする立退交渉の場合には,多額の立退料の提供が必要になる可能性を念頭において,十分な資金調達手段を確保しておく必要があります。
 
また,立退料の提供さえ行えば必ず立ち退かせられるわけではなく,賃借人側で建物の継続使用の必要性が高い場合には,裁判を起こしても「正当事由」無しと裁判所に判断されてしまうケースも相当数ありますので,慎重な検討が必要です。
 
賃借人側も,立退料の金額次第では立退きに応じるというスタンスの場合には,立退きによってどの程度の損失が賃借人に生じるのかを考慮し,立退料の金額や立退き時期の交渉を行うことになります。
 
立退料の金額や立退き時期の交渉が成立すれば,立退きまでの諸事項についても協議・合意して,明渡合意書といった書面を作成します。
 
交渉での解決が困難であれば,「正当事由」ある更新拒絶や解約申入れをしたことを前提に,調停や訴訟での解決を目指すことになります。
 

立退き交渉・裁判等を弁護士に依頼するメリット

 
借地借家法が歴史的には借家人・借地人の権利を保障する趣旨で立法されたこともあり,伝統的に裁判所は,賃借人の賃料滞納以外の場面では,賃借人側にやや有利な判断をする傾向があります。
 
賃貸人としては,賃借人の契約違反がある場合や,建替えのために立退きを求めたい場合などには,強引に突き進めば良いというものではありませんので,不動産に強い弁護士に良く相談した上で,賃借人側の利益にも配慮し,合理的な着地点を目指す姿勢が,結果として望ましい解決につながるものといえます。
 
そのため,裁判所での判断傾向等に詳しく,冷静で合理的な判断のできる弁護士に相談・依頼し,立退き交渉や調停・裁判を進めることが望ましいでしょう。

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