不動産トラブルに強い弁護士なら弁護士秋山直人

サブリース契約の解約

 

サブリース契約のデメリット

 
サブリース業者が間に入って転貸をしているサブリース物件は、建物所有者にとっては制約が多い等の理由で投資家からの評価が低く、売却しようとしても一般にサブリース物件でない通常の収益物件(管理業者に管理を委託しているタイプの物件)と比べて、売却価格が相当程度下がるのが実情です。
 
また、サブリース業者は玉石混交であり、管理業務がずさんな業者もありますし、ひどい場合には賃料を滞納する業者もあります(この場合には賃料滞納による契約解除ができますが。)。
 
そのため、サブリース契約を解約したいというニーズはかなり強いといえます。
 

借地借家法の適用

 
建物所有者とサブリース業者との間の賃貸借契約(「マスターリース契約」といいます)についても借地借家法の適用があることについては、最高裁判例で認められています(最三小判平成15年10月21日集民211号55頁等)。
 
そのため、サブリース業者とのマスターリース契約について、契約期間満了時点での更新拒絶や、契約期間中途での解約申入れを有効に行うには、借地借家法28条の「正当事由」が必要となります。
 

賃料5~6か月分程度の立退料での正当事由具備を認める裁判例

 
建物所有者から更新拒絶や解約申入れを行っても、最高裁判例を盾に取り、「正当事由」が無いから解約等は認められない、と強硬に主張するサブリース業者がしばしば見られます。
 
マスターリースの契約書に、「中途解約の場合には賃料○か月分の違約金を払えば解約できる」と規定していながら、当該規定は借地借家法違反で無効だ、などと開き直るサブリース業者もいます。
 
前記のとおりサブリース業者は玉石混交なので、契約書に、「中途解約の場合の違約金を賃料○か月分」と記載し、そのとおりの違約金の支払で解約に応じる、比較的良心的な業者ももちろん存在します。
 
この論点は、「正当事由」が必要という最高裁判例があることから、サブリース業者に有利とみられることも多いのですが、実は、近年になって、建物所有者側にも配慮した裁判例がかなり出されるようになっています。
 
すなわち、サブリース業者は、建物を自ら直接占有しているわけではなく、転貸料を得ているに過ぎないので、サブリース業者が建物を使用する必要性としては、転貸による経済的利益(差益)を得ることに尽きる、と指摘する裁判例がかなりあります。
 
そのような認識に基づき、物件の売却等を希望する建物所有者が、転借人には明渡しを求めず、サブリース業者とのマスターリース契約のみ終了を求める事案では、マスターリース契約の賃料の5~6か月分程度の立退料をもって、「正当事由」が認められると判断する裁判例がかなり出てきています(東京地裁平成27年8月5日判決、東京地裁令和5年12月8日判決、東京地裁令和7年2月21日判決、東京地裁令和7年9月8日判決等)。
 
一般的な建物賃貸借契約では、建物所有者が物件を高値で売却したいという理由は、現に物件を占有使用している賃借人に明け渡しを求めるには「正当事由」として弱いと判断されがちなのですが、サブリースの場合には、転借人には明渡しを求めないのであれば、建物所有者側が物件を高値で売却したいという理由も、サブリース業者が差益を継続して得たいという理由も、ともに経済的理由なので、建物所有者が一定の立退料を支払うことで「正当事由」が具備される、という利益衡量がなされているといえます。
 
サブリース業者の差益(転貸料-マスターリース契約の賃借料)が仮に10%であるならば、マスターリース契約の賃借料の5~6か月分の立退料は、差益の50~60か月分にも相当することになるので、裁判所も相当な補償がなされることになると判断しやすいように思います。
 
なお、建物所有者側に、単純に物件を高値で売却したいというだけでなく、何らかの事情で、物件売却による資金捻出の必要性が高い等の事情もあった方が有利です。
 
また、サブリース契約書の中で、「賃貸人からの解約時は賃料○か月分の違約金を支払う」等の条項がある場合、それが立退料の算定においても参考にされることがあります。
 
もっとも、どんな事案でもマスターリース契約の賃料の5~6か月分程度の立退料で正当事由が認められるかというとそういうことではなく、例えば、サブリース業者がハウスメーカー系であり、建物の建築受注とセットで30年一括借り上げ等を保証しているようなタイプの場合だと、長期のサブリース継続を計画の前提としているとして、また判断が異なってくるようなことは有り得ると思います。個別の事案に即した検討が必要不可欠です。
 
以上のような状況であるため、サブリース業者に解約を断られたケースでも、弁護士に委任して裁判を起こすことで(交渉では難しいことが多いですが)、一定の立退料を支払ってサブリース業者とのマスターリース契約を解約できる可能性があります。相当程度の費用と時間を覚悟する必要はありますが、ご相談をいただければと思います。
 
なお、当事務所では、弁護士法の関係で、不動産業者さんからの紹介という形では相談をお受けできませんので、直接、建物所有者の方からご相談をされるようにお願いします。

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