不動産トラブルに強い弁護士なら弁護士秋山直人

土壌汚染に関するトラブル

 

土壌汚染が発見されたら

 
土壌汚染対策法や東京都の環境確保条例では,一定の場合に土地の所有者等に対して土壌汚染の調査を義務付けています。また,売買契約後の一定期間内に買主側のリクエストで土壌汚染調査を実施することもあります。
 
そのような調査を契機に土壌汚染が発見されることがありますが,土壌汚染が発見された場合,買主としてはどうすれば良いのでしょうか?
 

瑕疵担保責任・契約不適合責任の追及

 
買主としては,売主に対し,売買契約上の瑕疵担保責任(改正前民法)・契約不適合責任(改正後民法)を追及することがまず考えられます。
 
土壌汚染の場合には,土壌汚染対策法で「要措置区域」や「形質変更時要届出区域」に指定されるレベルの汚染が発覚した場合には,売買契約上想定されていた土地の品質・性能を満たさないものとして,土地の瑕疵・契約不適合に該当すると判断される可能性が高いといえます。
 
瑕疵担保責任・契約不適合責任については,売買契約書において,民法の規定(瑕疵・契約不適合を知った時から1年以内に当該事実を通知)よりも責任追及期間を短く限定している(例えば,「引渡日から3か月以内に通知があった場合に限る」と制限する等)ことが多いので,注意が必要です。
 
ただし,契約書上の責任追及期間を過ぎていても,売主が当該土壌汚染の事実について知っていたか,知らないことに重大な過失があったと立証できる場合には,売主は責任追及期間を過ぎていることを理由に責任を免れません(民法566条但書)。
 
改正民法の契約不適合責任を追及できる場合には,売主に対し,「履行の追完」として,土壌汚染の調査・除去工事を要求したり,「履行の追完」に応じない場合には売買代金の減額を請求したり,あるいは買主側で業者に発注して土壌汚染の調査・除去工事を行った上で,当該工事費用を損害として賠償請求することが可能です。
 
土壌汚染の程度が深刻で,調査・除去工事に相当の費用や時間を要し,購入後の建築計画が大幅に狂ってしまうという場合には,契約の内容に適合しない目的物の引渡ししか行われていないという債務不履行に基づき,契約の解除を主張し,売買代金全額の返金を求めることも可能です。
 

瑕疵担保責任・契約不適合責任の追及が困難である場合

 
責任追及期間が既に過ぎており,売主が土壌汚染を知っていたとか知らないことに重大な過失があったとも立証できない場合には,瑕疵担保責任・契約不適合責任の追及は困難です。
 
そのような場合には,売主や仲介業者に対し,信義則上の説明義務違反の追及ができないかを検討します。
 
従前の土地の利用方法から,売主や仲介業者が,土壌汚染の可能性を認識していたのに黙っていたとか,行政から土壌汚染の可能性を指摘されていたのに調査を怠っていたとか,買主から土壌汚染の有無を質問したのに対し,売主が土壌汚染の可能性を隠蔽したといったケースでは,売買契約上の信義則や,媒介契約上の信義則に基づき,説明義務違反による損害賠償を請求できる可能性があります。
 
説明義務違反による損害賠償請求であれば,債務不履行責任と構成する場合には,権利を行使できることを知った時から5年間と,権利を行使できる時から10年間のいずれか短い期間行使が可能であり(民法166条),不法行為責任と構成する場合には,損害及び加害者を知ったときから3年間行使が可能です(人身損害の場合には5年間/民法724条,724条の2)。
 

土壌汚染のトラブル解決を弁護士に依頼するメリット

 
土壌汚染が発覚すると,調査や除去に相当高額の費用を必要とし,深刻なトラブルとなる場合があります。
 
もし土壌汚染に関するトラブルが発生した場合には,経験のある弁護士に解決を依頼することで,合理的な解決を図ることができます。
 
また,責任追及期間を制限する特約があることが多いので,このようなトラブルは,できるだけ早く弁護士に相談することが望ましいといえます。

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