ご相談者様は,親族間で共有している不動産について,共有者との間で方針が合わずに悩まれていました。
意思能力無効で贈与契約による所有権移転登記の抹消登記請求認容
親族間紛争80代以上/女性相談前
依頼者は,弁護士秋山直人が成年後見人をつとめている高齢の女性です。認知症で施設に入所されています。6年前に,親族が,本人の所有だった不動産を「贈与」を登記原因として,自己名義に所有権移転登記をしており,当時から意思能力が無いことが疑われましたので,介護保険の認定記録・病院のカルテ等を調査の上で,処分禁止仮処分を得て,提訴しました。
また,本人の預貯金から多額の現金引き出しがあり,これも親族が引き出したものと思われましたので,返還を求めました。
相談後
審理に約1年10か月ほどの時間を要しましたが,判決では,本人の意思無能力が認められ,贈与契約による所有権移転登記の抹消登記請求が認容されました。また,本人の預貯金からの引き出しについて,本人のために使われたことが明らかにならなかった部分について,親族に返還を求める請求も認容されました。判決は,控訴なく確定しました。
弁護士からのコメント
判断能力が衰えた方から,親族が預貯金を預かって,本人のため以外にも使ってしまうことは良くあるトラブルです。あわせて,不動産の名義を親族名義に移してしまうこともままあります。そのようなトラブルでは,名義移転当時,本人がどのような状態だったかを,病院のカルテ,介護保険の要介護認定の際の資料等から主張立証していく必要があります。使途不明金については,親族が払い戻したという事実をまずおさえた上で,本人のために使ったものか,使途を明らかにするように求めていくことになります。
その他の解決事例
契約前に支払った「保証金」の返還請求
不動産売買相談者(法人)は,ある物件の売買交渉を業者と行い,業者から交渉にあたってまず「保証金」として約300万円を預けるように言われ,業者に預けました。しかしその後売買交渉は流れ,依頼者が業者に保証金の返還を請求しましたが,業者は言を左右にして,返還に応じませんでした。
建物の建替えを理由とする賃貸人からの明渡請求に対し,相当の立退料支払で解決(営業物件)
立退交渉ご依頼者様は,普通賃貸借契約を締結し,営業用物件を賃借していましたが,賃貸人より,建物の建替えを理由に,一定の立退料を支払った上での退去を求められました。しかし,提示された立退料の金額は,ご依頼者様が代替物件を見付けて転居し,当該物件で営業を行うには不十分なものでした。
リフォーム代を拠出してすぐ別居・離婚に至った事案で,リフォーム代相当の返還請求
親族間紛争依頼者は,義母名義の一戸建てのリフォーム代を約1300万円拠出しましたが,直後に奥さん・お子さんと別居状態となり,リフォームした一戸建てには一度も住むことがありませんでした。リフォーム後も一戸建ての名義は義母の単独名義のままで,リフォーム代の返還を求めたいというご依頼でした。